FM711MkIII

FM711MkIII

パワーアンプ

すば抜けた瞬発力と制動力、その優れたドライバビリティーによって生命力溢れる音を奏でるプレシジョン・パワーアンプ「FM711」。その誕生から十有余年のロングランを経て、それは、新たなるバージョン「FM711MkIII」として生まれ変わりました。
スペシャル・カーブトレーサーとヒアリング選定による半導体を使用した完全ディスクリート構成、圧倒的な CMRR(コモンモード・リダクション・レシオ)を誇る純バランス・クラスA入力ステージ、飛躍的なトランジェントスピードと高いピーク出力電流容量を実現した独自のエンハンスド・クラスA出力ステージなど、初代FM711の基本コンセプトを踏襲しながら、新たに素材の刷新とコンストラクションの改良が施され、その音には、さらなるブラッシュアップが果たされています。

 

■主な特長

● 特製カーブトレーサーによる分析とリスニングテストによって選別された半導体素子で構成する完全ディスクリート回路
● 真の完全バランス入力ステージがバランスのみならずアンバランス、擬似バランスソース入力も自動的にバランス整合
● +20dBm(7.75Vrms)というきわめてゆとりあるヘッドルームによる安定した入力キャパビリティ
● 90dB以上を誇る高CMRR(コモンモード・リジェクションレシオ;いわゆる“バランス”機器の20~1000倍に相当)
● アンプと負荷を保護する高感度マルチ・プロテクション回路搭載
● 5000Vスパイク・サプレッサーを AC電源ラインに装備
● 低インピーダンス、高キャパシタンスのスピーカーロードをも完全にドライブする優れた高能力
● FM ACOUSTICS独自のエンハンスド・クラスAサーキット・トポロジーによって音楽性に満ちた優れたドライブ力
● 入力インピーダンスを変えないプレシジョン・ローノイズ・レベルコントロールを装備
● 超低損失大電流出力コネクターFORCEPLUG200を装備
● 浮遊磁界を防止する特製シールドを採用した大容量トランスフォーマーと最短距離で結合する超低インピーダンスパワーサプライ
● ハンド・セレクション、ハンド・マッチングを徹底したDIN、IEC、MIL規格パーツによる精密なハンドクラフト

 

■「FM711MkIII」の新フィーチャー

 

fm711mk2-figure

● そしてさらに、「FM115」「FM411MkII」そして「FM1811」と続くFM ACOUSTICS新世代の開発によって得られた回路技術により全ダイナミックレンジにわたって歪率、セバレーションをさらに改善。ローレベルのリニアリティーをより高めています。
● また、重負荷/高出力に対するリニアリティーをより高める強力な新パワーサプライなど、細部に亙りパフォーマンスの一層の向上が図られています。

 

■テクニカル・インフォメーション

◎タイムコヒーレンスとダイナミック特性に優れたFM ACOUSTICS独自のエンハンスド・クラスA出力ステージ

「FM711MkIII」のファイナルパワーステージには、優れた位相特性と低歪率でダイナミックな振幅に完璧な対称動作を行なうFM ACOUSTICS伝統のエンハンスド・クラスA回路を採用。一般的なアンプの出力段がNPNとPNPペアのパワートランジスターでプッシュプル構成を組むのに対して、レゾリューションシリーズ伝統の手法はバイポーラNPNパワートランジスターだけでプッシュプル動作を行なわせます。いかにペアといえども NPNとPNPの組み合わせが起こす、わずかな非対称性までをも嫌った完璧な出力ステージを実現するためです。ドライバーにも、同一素子が使われています。この素子は、プラスティックパッケージの中にセラミックハウジングと銅のベースを封入したパワートランジスターで、優れた温度係数と熱拡散効果をもち、きわめて大きな電流容量とSOA(SAFE OPERATION AREA)を達成しています。トランジスターは、すべてカーブトレーサーによる選別によって特性が揃えられ、低歪みで飛躍的なトランジェントスピードと高いピーク電流容量を得ています。

◎低インピーダンス負荷に強い瞬発力と安定性

FMレゾリューション・シリーズのパワーアンプリファイアーの設計思想の一つ、高効率大電力のトロイダルトランスフォーマーとマッシブ・パワーサプライ・フィーチャーの採用による、大電流容量、超低インピーダンス電源が、瞬間的なピークに要求される大電流を難なく出力ステージに供給し、増幅伝送時のリミッテーションとタイムスミアを排除。ダイナミックコンプレッションやダイナミックディストーションから解放された優れたスルー性能を発揮します。

◎アンプと負荷を保護する高感度マルチ・プロテクション回路搭載

温度、ショート、高周波などをすばやく検出、異常事態にはリレーによって瞬時に出力を遮断するFM独自のマルチプロテクション機構を搭載。アンプの増幅過程へのリミッター的動作やコンプレッション的動作の誘発を起こさない高度な回路は、アンプのリニアリティーを妨げることなく機能し、淀みない信号増幅を果たします。

  • サーマルプロテクション:空気の対流が妨げられたりして出力トランジスターの温度が80℃に達するとアンプは スイッチオフし、安全温度に下がれば自動復帰します。80℃という温度はたいへんコンサバティブな設定と思われるかもしれませんが、出力トランジスターの温度上昇による熱暴走を阻止し熱疲労から守りながら、アンプを完全に安定動作させる上で極めて重要です。
  • 出力段のDC+/-オフセットが、常にモニターされています。1VのDCオフセットを検出して、即座にスイッチオフし負荷を保護します。ドライバーにとって危険な15Vから20Vすらパスさせてしまう、多くの一般アンプに入っているいわゆるDCプロテクションと比べてきわめて安全性の高い回路です
  • 超高域発振など帯域外の不要信号からプロテクト
  • 許容入力+20dBVを越える過大入力プロテクションをも装備
  • 独自のセーフガードシステムはたとえ動作中に負荷が外れるなどした場合でも、アンプを安全に守ります。

こうした何らかのエラーでプロテクションが起動した場合、内部でステータスインジケーターの LEDが点灯し状態が把握できます。赤LED=出力ショート検出、緑LED=異常高温、黄LED=DCオフセット、高周波発振

◎独自のサーキットデザインで自然なサウンド

殆どすべてと言っていいほど他のアンプは、クリップ時には不快で刺激的な歪み音を発します。フィードバックマージンが大きいほど、その歪みは悪化します。FM ACOUSTICSのユニークな回路は、この余分な付帯ノイズを抑え、例えクリッピング時でも単なるクリップに止め不快な異音を生じさせません。(勿論、アンプのリニアリティーはクリップレベル以下でなければなりませんが。)そのため、アクチュアルな体感無歪SPLは、同等スペックの他のものと比べて2-5dB有利となります。
入力回路は、トゥルーバランス構成。バランス回路の真を問うコモンモード・リダクション・レシオは 、100dB(ティピカル)、90dB(@50Hz)を達成し優れた動的S/Nを実現しています。また、入力レベル調整回路はフロントエンド回路の後に設置され、いかなるレベル位置でも入力インピーダンスを変動させることなく、一定に保ちます。入力インピーダンスの変化による音質変化を防いでいます。

◎最適なパフォーマンスのため1台ごとに綿密にチューン

全てのブロック、PCボードそしてパーツアッセンブリは、製造工程において数々の検査を受けます。これら広範囲に亙る検査の後に各増幅段は別々に測定され、そして調整されます。種々の保護回路は実際の過失状況模擬テストにより動作チェックがなされ、そしてユニット全体は過酷な過失状態にさらさせます。その時アンプの動作は、数々の負荷により分析されます。次にアンプは特別な限界試験室に送られ、そこで約1,000回の温度循環試験がのべ200時間にわたって繰り返されます。その後アンプは振動試験機により1時間以上の振動試験を受けます。

そしてそれらの工程を全て終了した後でアンプは最終検査工程へ送られ、そこで再び完全なまでの解析、測定そして再検査が行なわれます。もし、その結果性能が初期測定結果と完全に同一であれば、はじめてそのユニットの検査は終了します。そして、ヒアリングテスト後に、市場に出される事が許されます。

[ Specifications ]

● 実効出力パワー:260W×2(8Ω)、500W×2(4Ω)、800W×2(2Ω)
● ゲイン/入力感度/入力インピーダンス:29dB/1.6V/40kΩ
● 入力(Stereo):バランス(XLR)
● スピーカー端子(Stereo):1系統(フォースプラグ200バナナ専用)
● レベル調整あり
● 電源:100V AC, 50/60Hz
● 消費電力:150W(アイドリング時)、1kW(30%出力)、2.3kW(最大)
● 推奨AC電源容量:12A以上(100VAC)
● 外形 寸法:430W × 200H × 450D mm
● 重量:25.0kg

プレシジョン・パワーアンプ

FM711MkIII

Ayon
bergmann
Boulder
Dan D’Agostino
finite elemente
FM ACOUSTICS
FYNE AUDIO
GRANDINOTE
lumen white
MSB TECHNOLOGY
TRANSPARENT